ピュテアス|イギリス生活

ワクチン予約とイギリスの戦略

現在、イングランドとスコットランドでは30歳以上、北アイルランドとウェールズの一部では18歳以上を対象に、1回目の新型コロナウイルスワクチンが提供されています。(2021年5月29日現在の情報です)

BBC Newsなどで頻繁に予約可能年齢が発表されており、
先週月曜には38歳以上、水曜には34歳以上、そして土曜に32歳以上と発表された瞬間に、
私たち夫婦(32 & 33)も同時に予約サイトに入りました。(別デバイスで)

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オンライン予約

予約は、1回目/2回目を、同時に取ることが出来ます。

予約サイトに入ると、そこには既に1,000人以上の ‘queue’(キュー: 列)が。

オンライン上に長蛇の列ができていました。

とはいえ思ったよりも待ち時間は少なく、サクサクと人数が減っていく様子が分かるようになっていたので、そこまでストレスは感じませんでした。

順番が回ってきたら、ワクチン接種会場と、日時の選択をします。

これがなかなか、ネットオークションさながらの争奪戦となっていました。

選択しては、次のページで「いっぱいです。別の会場/日時を選んでください」となり、何度も何度もやり直し。

特に時間なんかは、考えて選んでいるヒマはありません。

4つほどの選択肢が表示されますが、とにかくどこでもいいので押す、という感じで、くり返すこと20回ほど・・・?

運良く私は、1回目/2回目とも近くの会場で予約が取れましたが、夫は1回目のみ、少し遠くの街まで行かなければならなくなりました。

近さよりも、日程の早さをとった結果です。

「同時にやれば同じ日に一緒に行けるよねー」なんて思惑は外れ、場所も時間も一つも揃いませんでしたが、とにかく二人とも無事に予約がとれたので一安心です。

予約確認のPDFファイルを保存。後から確認メールも届きます。

数日後、NHSから便りが届きました。これも予約確認かなと思ったら、「予約できますよ」の案内でした。ニュースに気づかなかった人のため、全住民に送られているんでしょうね。

一部の資料では英語以外に19ヶ国語が載っていたが、日本語はなかった

予約サイトの使い心地は、なかなか良かったと思います。

何度も選択し直さなくてはいけないのは確かに焦りましたし、面倒にも感じますが、1,000人以上が同時に操作しているのだから仕方ないですよね。逆に言えば、1,000人以上が一斉にアクセスしている割りに、システムの反応がかなり良かったと思います。

ここで思い出されるのは配偶者VISAの申請フォーム・・・のろのろで苦労しました。

力の入れようが違う・・・!

やる気になると早い&なんか凄い、どっちでもいいこと(政府的に)に関しては、まあ、そういう感じ、なイギリスを垣間見た気がしたのでした。

イギリスの戦略

イギリスのコロナワクチンへの取り組みの中で、なるほどと思ったことがいくつかありますが、そのうちの1つを今日はご紹介したいと思います。

2回目の接種: 約3ヶ月後

新型コロナワクチンは、1回目と2回目の間隔を、3週間〜12週間 とするのが望ましいとされています。

日本では、基本的に3週間の間隔で行われていると思いますが、イギリスでは、約3ヶ月間(11〜12週間)空けることになっています。

当初の計画では、イギリスでも、3週間の間隔をとる予定でした。

しかし、昨年末の感染率の上昇、感染者数の増加、変異種の出現などにより、計画を変更することになったのです。

「2回目の接種を12週間後に遅らせれば、より多くの人が、1回目のワクチンを早く接種できる」

そう考え直しました。

ワクチンは、1回目の接種が何より重要です。

1回でかなりの効果がありますが、2回目を接種することで免疫を強化し、その効果がより長く持続するようにします。

イギリスは、一部の人々を徹底的に予防するよりも、とにかく早く、沢山の人に、1回目のワクチンを行き渡らせる、という戦略をとったのです。

この理由を知った時は、その大胆な発想の切り替えと、スピード感のある決定に、感心しました。

なお、50歳以上や、リスクの高い立場にある人は8週間後にするなどの対策もとられています。(地域によります)

・・・・・・・

今月、バーミンガム大学とイングランド公衆衛生局から、新しい研究結果が発表されました。

「ファイザーのワクチンを、3週間ではなく12週間後に接種すると、より強い抗体反応が得られるということが分かった」

12週間後に接種したグループでは、3週間後に接種したグループに比べて、抗体レベルが3.5倍になったのです。

抗体レベルは時間の経過とともに自然に低下するため、時間を置くことでより強い反応が得られ、予防効果が長続きする可能性があるようです。

オックスフォード大とアストラゼネカのワクチンに関しては、今回の研究に先立って、2月に同様の結果が得られています。
※オックスフォード大学のチームが行った研究で、同ワクチンの投与を12週間遅らせると、抗体反応が2倍以上強くなることを示した。

これらの研究結果は、イギリスの行った戦略の有効性を裏付けることになりそうです。

The Guardian: Delay in giving second jabs of Pfizer vaccine improves immunity

・・・・・・・・・

イギリスの凄いところは、実証されている研究結果がない段階でも、手応えがかなりあるという場合は、それを待たずに行動に移すところです。早いです。

これは、今回のこと以外でもよく感じることで、ここには、日本とはまた違った国民性というのか、らしさというのか、があるようです。

時には、言ったことができないこともあります。他国に突っ込まれながらも、気にしている様子はありません。

これは、政府だけに言えることではなく、普段の生活でも感じることで、面白いなと感じています。

それでは、今日はこのへんで。

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