バースの歴史【後編】

こんにちは、麻奈美です。

今日は良いお天気でした。ここ数日は雨も止み、ガーデニング好きの義母が喜んでいます。

さて、今日も前回に引き続き、バースの歴史をご紹介していきますね！

本記事は【後編】になりますので、前編をお読みでない方は、ぜひ合わせてどうぞ。

バースの歴史②
～廃墟と化した大浴場、王室御用達の温泉リゾート地となるまで～

ローマ人の開発によって、数百年にわたって栄えたバースでしたが、
５世紀初頭にはローマ帝国が崩壊し、ローマ人たちは撤退します。

大浴場は新たに侵入してきたサクソン人によって破壊され、アクアエ・スリス（バース）は衰退しました。

（ボロボロになったアクアエ・スリスでしたが、天然温泉は湧き続け、国中から病人がやってきては、癒しの湯で病を洗い流そうとしていたのだとか。）

その後のバースでは、修道院や大聖堂がたくさん建てられるようになります。

イングランドの初代王、エドガーは、バースで戴冠式を行いました。（973年）
※バースの歴史【前編】: バースという名の由来

そのような流れで、中世のバースは、イギリス屈指の「聖都」として名声を高めていきました。

また、14世紀以降は、「羊毛産業」の重要な拠点ともなりました。

しかし16世紀には羊毛貿易が不振になり、再度、温泉地としての地位を取り戻し始めます。

1574年にエリザベス女王がバースに訪れると、

王室御用達の温泉リゾート地として注目を集め、その地位を確立していきます。

さらにアン王女が頻繁に温泉に訪れたことや、貴族の後援も相まって、
17世紀になる頃には、貴族や富豪の集まる ‘the premier resort of frivolity and fashion（娯楽とファッションの一流リゾート地）’と言われるまでに、復興を果たしていたのでした。

街の大リニューアル計画

こうして王室のお墨付きももらい、ついに一流の温泉リゾートとして地位を確立したバースでしたが、

市街地としては、いまいちパッとせずな状況が続いていました。

18世紀初頭、街は再構築計画を始めます。

今なお残る、多くの美しい建築物が建設されたのは、18世紀、ジョージ王朝時代のことだったのです。

街のプロデュースを行なったのは、以下のメンバーです。

ジョン・ウッド・エルダー/ヤング親子（1704–1782）

ジョージ王朝時代のバースの外観デザインに大きく貢献した建築家。

1754年にエルダーが亡くなると、ヤングが仕事を引き継いだ。

ラルフ・アレン（1693-1764）

イギリスの郵便制度の改革で有名な起業家・慈善家。

多くのストリートや学校の名にもなっている。

ボー・ナッシュ（1674-1761）

18世紀のファッションリーダー・インフルエンサー。

1704年から亡くなるまで、バースのセレモニー・マスターを務めた。数々の愛人を持ち、ギャンブル癖があるなど、遊び人として有名だったが、貴族と中流階級間の厚い社会的な壁を取り払うのに重要な役割を果たした。

各分野でのカリスマがタッグを組み、

バースをヨーロッパで最も美しい都市にしよう！

という野望のもと、大規模な都市改革が進められました。

そうしてジョージ３世の時代に、アクアエ・スリス崩壊の名残が強く残るその市街地は、

ローマ時代の浴場と調和した、新古典主義の建物が建ち並ぶエレガントな街へと、劇的な大変身を遂げたのです。

クイーンズ・スクエア、プライヤー・パーク、ザ・サーカス、ロイヤル・クレセント、アッセンブリー・ルームなど、今もバースのランドマークとして残る建築物のほとんどが、この時代に建てられました。

当ブログのトップページの絵も、カムデン・クレセント（Upper Camden Place）という18世紀に建てられたバースの建築とその通りの風景で、1829年に描かれたものです。

バースが今日も人気観光地であること、世界遺産であり続けられていることは、彼ら（と住民）の素晴らしい仕事ぶりのおかげと言っても過言ではありません。

世界遺産の街、バース　

1987年、バース市全域が、ユネスコの世界遺産に登録されました。

歴史とその産物が多く残されていることから、その文化的属性をもって、世界的に価値のある都市とみなされるようになったのです。

ローマ時代の遺跡、特にスリス・ミネルヴァ神殿と浴場群は、アルプス以北で最も重要なローマ時代の遺跡の一つとされています。

イギリス唯一の天然温泉に入ろう！

サーメ・バース・スパは、イギリスで唯一の天然温泉施設です。

2006年にオープンしたこの施設では、2000年前にローマ人を癒したのと同じ、ミネラル豊富な温泉に入ることができます。

歴史遺産と現代的なスパ施設が合体しており、唯一無二です。建設には長い時間がかけられたそうです。

温泉といっても、熱いお湯につかってほっこり、という日本の温泉とはまた違ったものになります。

天然温泉を利用した、温水プールをイメージされるといいでしょう。湯の温度は35度前後です。

館内には数種類の温泉風呂（プール）と、マッサージなどのトリートメントやレストランもあります。

ルーフトップ・プールからは、バースの街が一望できますよ。

遊びに行く際は、水着をお忘れなく！

おわりに

２回にわたりご紹介したバースの歴史、いかがでしたか？

歴史を知っていくと、街の見え方も変わり、一層味わい深くなりますね。

古代ローマの支配下から始まり、幾度の侵略と共に発展しながら、温泉とジョージアン様式の建築が融合された美しい街へと成長したバース。

かつて貴族や上流階級の社交場として最重要スポットだったバースは、今なおその面影を残し、人気観光地となっています。

最後に、私から見た、現在のバースの魅力をまとめてみます。

バースの魅力は沢山ありますが、大別すると以下のように特徴づけられるのではないでしょうか。

1. 歴史的な建造物の数々
2. ベージュカラーで統一された美しい街並み（住宅でも色の指定があります）
3. 野鳥や動物の生息する豊かな自然

バースの素晴らしいところは、歴史的な建造物を数多く残しながらも、その景観を損なうことなく都会的な雰囲気を持ち合わせており、かつ緑が多く、豊かな自然を感じられることだと思っています。

有名どころから穴場まで、バースの色々をこれからも少しずつご紹介していきますね。

最後までお読みいただき、ありがとうございました！