ピュテアス|イギリス生活

書かない人もいる。

義妹が家にいる。

彼女は普段ロンドンに住んでいるが、

休みをとって、数日実家で過ごしている。

彼女はとても可愛くてかっこよくて才能豊かな自慢の義妹である。

そんな彼女はまさにSNS世代の若者だ。

私もSNSは長年利用しているし、今や別に年齢関係なくほとんどの人が何かしらのSNSを利用する時代ではあるが、

20代の彼女らにとってはその重みが若干違ってくるかもしれない。

といってもこれはやはり20代以下の若者に限ったことでもなく、今やSNSと現実世界の境目は曖昧なところがある。

政治にも大いに影響する。

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私は主にインスタグラムとツイッターを利用しているが、特にツイッターは情報収集の場として手放せない。インスタグラムも情報収集に役立つが、

どちらかというとインスタグラムでは、友人やフォローした相手の楽しい日常、食や美容、カルチャーなどのポジティブな内容に触れることができ(それぞれの使い方やフォローするアカウントによるが)、ツイッターではよりリアルな人間の意見や本音、世論的なものに触れることができる。

メディアリテラシー/ネットリテラシーが、本当に大切な時代だと思う。気をつけないと、思想はどこまでも偏ってしまうし、危険な目に遭うこともある。

基本的なことだが、どちら側の意見も聞いてみる、極論に走ることなく、広い視野をもってバランスのとれた考え方をする、それでいて、本質的なポイントを見失わないようにする、などなど、基本的だからといって決して簡単ではないが、心がける必要がある。

当然、それができない人は多い。

インターネットで世界が繋がる。誰とでも、どんな分野とも、簡単に繋がることができる開放的な世界は希望に満ちているが、誰でも利用できる自由な世界であるが故に、まるで無法地帯のカオスともなり得る。

実は先日、突然「あ、むり」となり、2日ほどSNSから距離を置いた。あっちもこっちも言いたい放題でめちゃくちゃなツイッターの世界に、実際に自分が何かを被ったわけでなくとも、耐えられなくなってしまった。

人間が嫌いになりそうになる。

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どんなに世界を広く感じていたとしても、見ているのは手のひら程度のスマホ画面だったりする。

ただ先にも述べたように、SNSと現実世界の境目が曖昧になっている今、そんなスマホ画面も侮れない。

何が現実なんだろうか。

生身の人間が書いている以上、SNSも現実の一部には違いないのだろう。

だけど、生きている人間の誰もがツイッターをやっているわけではない。

ツイッターをやっている誰もが書き込むわけでもない。

例えばだが、企業のホームページのお問い合わせフォームに「いつも素敵な商品を開発してくださってありがとうございます」のような感謝のメッセージを送ったことのある人がどのくらいいるだろうか。

人は、文句を言いたい時の方が、書く意欲がわく。

もちろん、書いちゃいけないという話ではない。ツイッターから社会を変えていくことができる時代でもあるわけで、正しい使い方をしている人もたくさん、いる。

だけど忘れたくないと改めて思ったのは、「書かない人もいる」ということ。

ツイッターから見える世界は広いが、実際、世界はもっと広い。

ツイッターでは遠くが見えるが、近くが見えなくなることもある。

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先日ワクチンについて話していた時、義妹がこんなことを言っていた。

「専門家によって言うことが違うから混乱する」「色々読むと副反応が怖くなる(打つけど)」

私はこれまで、ワクチンなどについては特に、出典もきちんと明記してある、概ね信頼できるとされている記事だけを参考にしてきたのだが、そういったソースの中では、実のところそこまで情報が錯綜しているとは感じてこなかった。

だから義妹の話を聞いて、イギリスでもネット社会では日本と同じようなことが起こっているんだなと痛感した。

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私が「イギリスいいな」と思うことの一つに、テレビのニュース番組がシンプルで分かりやすいことがある。

BBCニュースのチャンネルは、一日のどの時間につけても、その日・時期の重要トピックを、キャスターが一定のトーンで伝えている。

よく、専門家がビデオトークで参加することもあるが、特定のトピックに対して、専門外のコメンテーターがコメントすることはまずない。

テレビを見ている人が妙に不安を煽られたり、混乱に陥る確率は、中途半端なワイドショーが盛んな日本よりずっと低いのでは、と基本的には思う。

そういうこともあって、一般的なイギリス人の考え方(特にコロナ・ワクチンなどに関して)は、比較的安定していて、専門家の公式な発表に基づいて、割りかた一貫しているものかとなんとなく思っていた私は、義妹の話を聞いて、ちょっと新鮮な気持ちがした。

英語ニュースは読むが、英語圏のツイッターにはそこまで目を通してこなかったので、周りの話を色々聞く限りデメリットも大きそうではあるが・・・イギリスをより知るために、ちょっと手を出したくなっている私がいる。

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とにかく何が言いたいかと言うと、

SNSは情報収集に役立つが、影響されすぎないように。

きついな・・・と感じてきたらしばらく離れること。

「書かない」だけでまともな人もいることを思い出す。

根拠のない噂話に振り回されるよりも、ソースが明記されている信頼できる記事を読むこと。

当たり前なことを再確認した。

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最後に、落ち込んでいた私を励ましてくれた大地の写真をお届けしたい。

重い身体を起こしてピクニックへ出かけて本当によかったと思えた日。

みるみる癒され、エネルギーを分けてくれる自然に感謝した。

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