ピュテアス|イギリス生活

母の日と、記念日ミニマライゼーション

先日は母の日でしたね。

皆さまどんな一日を過ごされたでしょうか。

私は今、少し申しわけない気持ちでこれを書いています。

なぜなら、初めて(たぶん)忘れてしまったのです。母の日を。

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言い訳は2つある。

一つ目に、イギリスと日本の「母の日」が違うこと。

二つ目に、母の誕生日も5月であること。

二つ目に関しては毎年悩むのだが、5月前半にやってくる母の日にはお花やプレゼントと共に「ありがとう」して、後半にやってくる誕生日には通常プレゼントはなく「おめでとう」を伝えるだけになってしまっている。

6月(父の日)や12月(クリスマス)に誕生日がある人も、少なからずそんな体験をしているのだろう。

ちなみに祖父の誕生日はクリスマスイブで、妹の結婚記念日はクリスマス。後者に関しては、あえて一緒にしてしまう思い切りのよさが「今っぽい」だろうか。

何でだったっけ、と気になったので、改めて理由を聞いてみた。

「会社の引っ越し制度の関係で年内に籍を入れたかったのと、記念日やイベント的な日を増やしたくなかったから」

なるほど。

確かに忙しい現代人にとっては、これ以上覚えなくてはいけない日を増やしたくないというのも頷ける。12月25日という、まず忘れることはないだろう日に結びつけることで、結婚記念日を忘れることもなくなり、くだらない喧嘩の原因を一つ除外できる。(記念日についての喧嘩なんて側からみたらラブラブの見せつけだが、当人たちにとってはそうでもないだろう)

人生において、感動やときめきは忘れたくないし、いくらシンプルな生活がヘルシーとはいえ、すべてが無印良品では味気ない。

かといって、手に負えないほど情報に溢れた世の中で、必要なものは最小限に抑えたいというのも、いま、我々の多くが感じていることではないだろうか。

目に見えるものも見えないものも、できるだけシンプルに、少なくすることで、本当に大切にしたいもの・ことが、より色濃く浮かび上がってくる。それがミニマリズムだ。

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妹夫婦が「ミニマリズム」を意識したかはさておき、これを「記念日ミニマライゼーション」と呼ぶことにした。

ところで、イギリスの母の日は、今でこそアメリカの影響で ‘Mother’s Day’ の呼称が一般的だが、伝統的には ‘Mothering Sunday(マザーリング・サンデイ)’ である。

17世紀に始まったとされ、元々はキリスト教徒が、四旬節(レント)中の第4日曜日に「母」である教会を訪れるという、宗教的な祝日だったらしい。

かつて ‘Mothering Sunday’ は、「自分が洗礼を受けた教会や、子どもの頃に通った教会に戻る」日であり、故郷に戻ることで、家族が再会することを意味していた。やがて、大きな家で使用人として働いていた若者たちには、その日に休日が与えられるようにもなった。彼らはこの日を利用して母親を訪ね、雇い主からもらった食べ物や、お下がりの衣類などをプレゼントすることができた。それが現在の風習につながっているのだ。
time and date: Mothering Sunday in the United Kingdom

日本でも、昭和初期に大日本連合婦人会が香淳皇后の誕生日を「母の日」とするなど、過去にいくつかの母の日が存在したようだが、1949年頃からはアメリカ式に倣っている。

アメリカの母の日は、1907年、アンナ・ジャービスという女性が、亡き母を偲んで教会で記念会を開いたことが起源となっている。そこで彼女は、参加者に「白いカーネーション」を贈ったのだ・・・

アンナ・ジャービスが5月の第2日曜日を選んだのは、彼女の母の命日である5月9日に常に近い日にするためだったという。
BBC: Anna Jarvis: The woman who regretted creating Mother’s Day
(上記事では、母の日が商業化されることを拒んだアンナ・ジャービスの軌跡についても書かれています)

きっかけは色々だが、母への感謝と労いを表したいという思いは世界共通である。イギリスのマザーリング・サンデイも、元々は「教会に帰る」日であったが、いまでは事実上「(人間の)母に感謝する」日となっている。多くの国がアメリカ式の「5月の第2日曜日」としている中、そこだけは譲れないイギリス(今年は3月14日でした)。

各国の母の日を掲載してくれている花屋さんのページはこちら。(韓国は日本の母の日の前日に「父母の日」があるんですね)
Clare Florist: International Mothers Day

さて、いつの間にか一つ目の言い訳について詳述していたが、そういうわけなのである。イギリスも「母の日ミニマライゼーション」してくれたら、混乱しなくて済むのだが。もちもん、他国がイギリス様に合わせてくれてもいいのだけど!?

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実は今月初旬、少し早めに母の誕生日を祝うサプライズイベント(私達はリモート参加)があり、それが無事に終わったことでホッとして、母の日のことが頭から抜けてしまった、というのもある。この出来事についてはまた別の機会に書きたいと思っているので、また読んでいただけたら嬉しい、です。

最後に、この場を借りて。

お母さん、いつもありがとう。体に気をつけて、いつまでも元気で大笑いしているお母さんでいてね!

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